BNBの歴史——取引所トークンから「暗号資産第3位」への軌跡

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仮想通貨の世界で「BNB」という名前を聞いたことがある人は多いと思います。でも、その歴史を最初から知っている人は意外と少ない。

BNBはビットコイン、イーサリアムに次ぐ時価総額第3位の暗号資産として世界的な存在感を持つ一方で、その道のりは決して平坦ではありませんでした。創業者の逮捕、米当局との法廷闘争、幾度もの暴落——それでも生き残り、進化し続けてきたBNBの歴史を、時系列で振り返ります。


2017年:誕生——手数料割引トークンとしてのスタート

BNBが誕生したのは2017年7月のことです。世界最大級の暗号資産取引所・Binance(バイナンス)が、取引所のサービス開始(同年7月14日)の11日前にICO(新規仮想通貨公開)を通じて発行しました。

当初の名称は「Binance Coin(バイナンスコイン)」。その役割は非常にシンプルで、Binanceの取引手数料をBNBで支払うと割引が受けられるという、いわゆる「ユーティリティトークン」でした。1BNBの初期価格は約**0.15ドル(約15円)**程度と、ほぼ無名の存在でした。

総供給量は2億BNBとして発行され、ICO時に1億BNBが販売されました。最初はイーサリアムのブロックチェーン上で動作するERC-20トークンとして発行されます。

発行タイミングは仮想通貨バブルの真っ只中。Binanceは設立わずか数カ月で世界最大の取引所に成長し、その追い風を受けてBNBも急速に認知度を高めていきます。

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2018年:最初の高値と冬の時代

2018年初頭、仮想通貨バブルの熱狂が頂点に達する中でBNBも上昇。**約2,573円(約24ドル)**という最初の高値をつけました。ICO価格(約15円)から見れば、わずか半年で170倍超の上昇です。

しかしその後は市場全体の崩壊とともに急落。仮想通貨の「冬の時代」が訪れます。多くのICOプロジェクトが消滅していくなか、Binance自体はユーザー数・取引量ともに世界トップを維持し続け、BNBも他のアルトコインと比較して底堅い動きを見せました。

この時期、Binanceは四半期ごとに自社の利益の20%を使ってBNBを買い戻し・消却(バーン)する仕組みを導入。供給量を減らすことで長期的な価値を支える設計が投資家に評価されます。


2019年:独自ブロックチェーン誕生とBinance Chainへの移行

2019年4月、Binanceは独自のブロックチェーン「Binance Chain」のメインネットを稼働させました。これに伴い、イーサリアム上のERC-20トークンだったBNBは1:1の比率でBinance Chain上のネイティブトークン(BEP2規格)に移行します。

「取引所のトークン」から「独自チェーンを持つ仮想通貨」への進化——これがBNBの歴史における最初の大きな転換点です。

また同年、Binance Launchpad(IEO=新規上場支援サービス)がスタート。BNBを保有していると新規プロジェクトのトークンセールに参加できるという仕組みが生まれ、BNBの需要は一段と高まりました。2019年6月には当時の最高値となる約**4,164円(約38ドル)**を更新しています。


2020〜2021年:DeFiブームとBSCの誕生、史上最高値へ

2020年9月、Binanceはスマートコントラクトに対応した「Binance Smart Chain(BSC)」を立ち上げました。これがBNBの歴史を大きく変えます。

BSCはイーサリアムと互換性を持ちながらも、手数料が圧倒的に安く、処理速度も速い。2020〜2021年にかけて世界中でDeFi(分散型金融)ブームが巻き起こると、ガス代が高騰したイーサリアムからBSCへの移民が相次ぎました。BSC上のあらゆる取引手数料はBNBで支払われるため、需要が爆発的に増加します。

その結果、BNBの価格は急騰。2021年5月には史上最高値となる約88,000円(約690ドル)を記録しました。ICO価格(約15円)からの上昇率は実に約5,800倍。時価総額はビットコイン、イーサリアムに次ぐ世界第3位に躍り出ました。


2022年:「Binance Coin」から「BNB」へのリブランディング

2022年、Binanceはトークンの名称を「Binance Coin」から単に**「BNB」**へとリブランディングしました。正式名称は「Build and Build(ビルド・アンド・ビルド)」——取引所のトークンという枠を超え、独立したエコシステムの基軸通貨として再定義する意思表示です。

同年には暗号資産市場全体が低迷(仮想通貨の冬)し、競合取引所FTXの破綻が業界に衝撃を与えます。FTX崩壊の引き金となったのがBinanceによるFTX保有トークンの売却だったとも言われ、業界内でBinanceへの視線が集まる複雑な局面でもありました。


2023年:最大の危機——SEC訴訟とCZ逮捕

BNBの歴史において、2023年は最大の試練の年となりました。

6月、米証券取引委員会(SEC)がBinanceとCEOのChangpeng Zhao(通称CZ)を相手取り提訴。BNBの時価総額はSECがバイナンスへの訴訟を起こした6月5日以降、70億ドル以上減少し、BNBは約9.72%下落しました。

さらに同年11月、CZは米国でのマネーロンダリング防止法違反を認め、5,000万ドルの罰金を支払うことに同意。検察は36カ月の懲役を求刑しましたが、裁判官は4カ月の懲役を言い渡しました。

世界最大の取引所のCEOが有罪を認めるという前代未聞の事態に、BNBの価格は一時大きく下落。「Binanceは終わりか」という声も上がりました。

しかし市場の反応は予想より落ち着いており、Binance自体は運営を継続。BNBも底を打った後に回復に転じます。


2024〜2025年:法廷和解と価格回復、そして再起

CZの出所後、Binanceは新CEOのRichard Teng氏のもとでコンプライアンス強化を進めます。SECとの訴訟についても、米連邦地方裁判所がBNBを含む暗号資産が証券の基準を満たさないとのSECの主張を却下する判決を下し、Binanceに有利な流れが生まれました。

市場全体の回復とビットコイン現物ETF承認の追い風も受け、BNBは再び上昇。2025年には**約88,000円(約600ドル前後)**の水準まで回復し、時価総額第3位の地位を守り続けています。

また、バーン(焼却)施策も着実に進んでいます。2025年の四半期ごとのバーンでは、137万〜163万BNBが消滅。2026年1月に行われた34回目のバーンだけでも、12億9,000万ドル相当のBNBが市場から消滅しました。供給量の減少が長期的な価格を下支えする構造は、今も変わらず機能しています。


BNBの価格推移まとめ

時期価格(概算)主な出来事
2017年7月(ICO)約15円Binance/BNB誕生
2018年初頭約2,573円第1の高値
2019年6月約4,164円Binance Chain誕生
2021年5月約88,000円史上最高値・BSCブーム
2022年末約35,000円FTX破綻・市場低迷
2023年末約30,000円CZ有罪・最大の危機
2025年約60,000〜90,000円回復・SEC訴訟和解

まとめ——「取引所トークン」を超えた存在へ

BNBはわずか15円の取引所手数料割引トークンとして生まれ、独自ブロックチェーンを持つエコシステムの基軸通貨へと進化しました。創業者の逮捕という前代未聞の事態を乗り越えてなお、時価総額世界3位の地位を保ち続けているのは、Binanceエコシステムの規模と、BNBそのものの実用性が支えているからです。

仮想通貨の世界でここまで多くの「歴史」を積み重ねた銘柄は多くありません。BNBのこれからが、どんなページを刻んでいくのか——引き続き注目です。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。

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